2012年 09月 07日
「あのぅ、ごめんください・・・」 なんて言いそうになるぐらい、よくできている。 ここは古民家のミニチュアギャラリー。 こちらの逸見雄一さんが制作されたミニチュアを、ご自宅で展示しておられる。 全体的には、ざっとこんな感じだ。 入場料500円を払って中へ入ると、逸見さん本人が丁寧に説明してくださる。 片手に懐中電灯を持っているのは、影などで見えにくいところを照らして見せてくれるため。 師匠に「ぜひ!」と勧められてやってきたけれど、その理由がよくわかった。 つまり、これだけのものを一人で制作されている人は、おそらく世界中探しても他にはいない。 某有名メーカーに勤めていた逸見さんは、40年前から趣味でミニチュアを作りはじめたそうだ。 おそらく生来の性分もあってかミニチュアに没頭し、やがて退職して作品づくりに専念することになる。 もともと絵画が趣味であったということだから、淵源にはそういったきっかけが伏在していたのだろう。 逸見さんのミニチュアは、基本的には実在の建物をもとに作られる。 全国を歩き回り、琴線に触れる建物をみつけるところから始まるということだ。 住人にミニチュアを作らせてほしいとの旨を説明し、断られても承諾を得るまで頼み込む。 普通は簡単には許可は出ないから、近くに宿をとって、とにかく毎日お土産を持参して通い倒す・・・ 過去最高は、18回も通ったそうだ。 (当然近所の人にも顔を覚えられて、変人扱いされたり・・・) 許可を得たら、とにかく写真を撮りまくる。 (だいたい1軒あたりフィルムと現像で150万円ぐらいかかるらしい) 外観はもちろんのこと、天井、壁(のシミ)、柱、生活用品、家具、炊事場、トイレ、庭の草木・・・ 早い話、外観から材質からキズ・シミに至るまで、完全に縮尺コピーするという徹底ぶり。 材料にも拘っておられて、気に入るものが見つかるまで全国を歩き回って探す。 例えば、庭の木1本見つけるのに1年以上かかったこともあるらしい。 実物とそっくりの木を見つけるまで諦めなかったというから恐れ入る。 この民家がミニチュアに見えるだろうか? 茅葺屋根は、大きいもので約60kgもあり、なんとパーム椰子の繊維を8000万本も使用して葺いてある。 もちろん専門家に教えを乞うて、実際の技法で葺いているそうだ。 たとえばこんな仏壇なんかは、これ一つを作るのに1年はかかるらしい。 あまりにも小さすぎて、道具作りから始めなければならないからだ。 (ちなみに座布団も本物と同じで綿づめしてある) この朽ちた土壁も凄い。 交差する竹を1本1本糸で編み、ちゃんと実際の技法で壁を塗っている。 これだけのために職人さんに弟子入りしたとか・・・ この機織り機はマッチ箱程度の大きさなのだが、当然本物を完全縮尺しているから実際に布が織れるのだとか。 5cmほどの自転車も自作。 さらに、こういった蜘蛛の巣も、意図した場所に張らせるそうだ。 これにはノウハウがあって、蜘蛛の習性を利用して風向きを調整しながら云々・・・ 張りたい糸の太さを調整するため、蜘蛛も数種類用意しているとか。 とにかく想像を絶する情熱と執念。 ある意味狂気の気配が感じられなくもないが、3時間充分に堪能させてもらった。 写真や私の解説ではほとんど伝わっていないように思うが、とにかく行けば分かる。 哀愁のふるさと館 〒368-0001 埼玉県秩父市黒谷122-4 ℡ 0494-24-0376
by hochamt
| 2012-09-07 20:38
| Aufbruch
|
Comments(6)
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デモ鳥
at 2012-09-09 22:28
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おおっ
これは凄い・・・・・・ ミニチュア写真に見えないぞこれ 実写に見える 床の痛み具合なんかえらい事になってます・・・・ 凄い
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hochamt at 2012-09-10 20:30
デモ鳥さん
さすが目のつけどころがデモ鳥さんですね。 実物を見たら、もっともっと凄いですよ。 ここまでやるか!?って感じで、恐ろしくリアルでした。 正気の沙汰ではないですね、良い意味で。 見学者で一番多いのは、本業の建築家だと言ってました。 海外からも来るそうです。 デモ鳥さんも是非!
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yamanashi
at 2012-09-10 20:47
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hochamt at 2012-09-10 21:03
yamanashiさん
はじめまして。コメントありがとうございます。 凄いとは聞いていましたが、実物を見て衝撃を受けました。 見る人が見たら、人生観が変わるんじゃないかとさえ思えるぐらいです。 テレビチャンピオンに出ようとして写真を送ったら、本物の写真を送らないでください!って言われて断られたらしいです・・・ またよろしくお願いします。
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rat-eng at 2012-09-12 10:28
こんにちは、先日はお疲れさまでした。
ここを最初に見学したのは20年ほど前でしたが、ヘンミさんも当時とまったく変わっていないですね。完全に別世界の人なので人間の時間軸が通じないのかもしれません。 ここは初めて見る人には衝撃が強いので用心が必要です。自分も初めて見たときにはほんとに驚きました。
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hochamt at 2012-09-12 21:24
師匠
先日は大変お世話になり、ありがとうございました。 油断して、よくあるミニチュア…っていう感覚で見に行くと腰を抜かしますね。 「今度は本物の自転車を作ってみてはいかがですか?」 と提案してみましたが、あんまり興味ないみたいでした・・・ |
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